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スタッフ閑話:安全・安心の場って?

最近、セミナーやワークショップ、人材・組織開発の場などで、「安全・安心な場」という表現を良く聞きます。
「安全・安心な場」というのは、『あなたを攻撃する人はここにはいませんよ~。

ですから、どうぞあなたが思ったことやアイデアを遠慮せずどんどん出してくださいね。』という意味で使われているかと思います。

では、そこに参加している人たちは「安全・安心な場」だと心からいつも思えているのでしょうか?

自分を振り返ると、「こういうことを言うのは恥ずかしいな~」とか「まとめないといけないからもう何も言わなくてもいいや」と意見を言わないことも多いですし、「この人の言い方、腹が立つな」「そんなこと言われるなんて悲しい」とか感じていたとしても、自分が感じていることを素直に外に出すという経験はあまりありません。

それは、「人の目が気になる」=「安全・安心な場だと思っていない」ということなのかもしれません。

先日エンカウンターグループ(※)のファシリテーターの方に「安全・安心な場」とはどういうことか話を聞いてみました。
その方によると、「安全・安心な場」とは自分が感じた嫌な気持ちや辛い気持ちもその場で出しても大丈夫だと思えること、だそうです。
自分がその場にいる誰かの発言で傷付いたとしても、その場に「傷付いた」と出すこと、そしてそれを出しても大丈夫だと「自分が」思えること、つまりは「自分は何があっても大丈夫だ」と思える場が「安全・安心な場」であるということです。

セミナーやある特定のグループなどで「安全・安心な場」を経験することで、常に「自分は大丈夫」という感覚でいられる自分を養っていく、その作業が最も大事だということでした。

そうすることで、特定のグループの外(つまり日常)でもその自分でいられるようになり、楽に生きていくことができる。

その状態の自分であれば、遠慮せず思いついたアイデアを出すこともできるし、人と建設的な会話・関係を築くことができる。
「安全・安心な場」とは、誰かから与えられるものではなく自分で自分を受容していく過程で作られるもののようです。

メタノイアで開催している対話の会でもこのような場を目指していきたいと改めて思いました。


※エンカウンターグループとは
臨床心理学者のカール・ロジャースが開発した集中的グループ体験。
「出会いのグループ」という意味で人々が、お互いを尊重し、自分の可能性を安心して育てていけるような生き方や人間関係を探求していくための時間と場所を提供するもの。

このグループは、通常、数人から10人程度の参加者とファシリテーター(促進者)と呼ばれるスタッフで構成される。

期間中は、ゆったりとした時間の流れの中で、あらかじめ話題を決めない自由な話し合いを中心に過ごす。

年齢や性別、職業や地位にとらわれない安全な雰囲気の中で、自分や他者の声に耳を傾け、そして、さまざまな人との出会いや新たな自分の発見を通して、生き方の広がり・深まり・豊かさのためのヒントが得られるかも知れない。 (人間関係研究会HPより、一部編集)

担当:ヤマモト