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[コラム] 「カチン・ムカっ」は、大事なチャンス!

先日の出来事。
駅のホームに旅行中と思われるご年配の夫婦。
電車が到着すると、大きなスーツケースを持つご主人が
電車から降りてくる人を待たずに乗り込んだ。

後から乗り込んできた奥様は、動き出した電車の中で
やや怒り気味に
「なぜ降りてくる人を待ってから乗らないのよ。
 あなたと一緒に行動するのが恥ずかしいわ。」

ご主人は
「そうはいっても乗らないことには始まらないだろう」
とニコニコしながら聴いておられた。

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奥様の判断は良識的で、
それを我慢してため込むことなく、ご主人に想いを伝え
ご主人はそれを、笑顔で受け止めつつ、こだわりのない様子。

いつもこんな感じで、バランスよく
ご夫婦の関係を持たれているのかもしれない。

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さて、ここで最近「内省」とか「メンタルモデル」とか「感情のコントロール」とか・・・
自分の心の成長や人の心の動きとそれに伴う反応に興味がある私は考えた。
このご主人、奥様の中で何が起きていたんだろう?

電車を降りる人に迷惑をかけたかもしれないご主人の方が、奥様よりも穏やかな雰囲気なのはどうしてだろう?

そんなご主人に、奥様はなぜカチンときたんだろうか?

ここからは想像の世界。

◎ご主人
 [事実] 降りてくる人を待たずに乗り込んだ
     奥様のやや怒りを含んだ言葉を笑顔で聴いていた
 [思考] 言われてみれば降りる人に迷惑をかけたかもしれない。
     終わったことは仕方がない。
 [感情] 平静

◎奥様
 [事実] 事後にご主人に対して、怒り気味に不満を述べた
 [思考] 降りる人を待ってから乗るべきだと考えていた
    降りる人に迷惑を掛けたくない/それができないご主人を非難する気持ち
    身近な人が「常識」(=自分の価値観)に反する行動を取ったことへの反発、苛立ち
 [感情] 怒り
 
他人の「非常識な行為」にイライラしたり不愉快な気持ちになることはよくある。
自分に近い人であればなおさらだ。
しかし「自分の行為ではないのに不快な気持ちを引きずるのは自分」というのは、なにか理不尽な感じがする。

「迷惑を掛けるべきではない」よりも、身近なご主人が奥様の「価値観に反する行為を選択した」=奥様(の価値観)を「理解してくれていない」ことへの失望、淋しさが怒りを生んでいる感じがする。「わかってない!」と。
思考(価値観)が感情を生み出し、感情は思考を強化する。結果として更に感情を高める「自己強化型ループ」が生じるのかな。

カチンときたとき、ムカッとしたとき、そこには「普段は意識していない自分の大切な価値観」を大事にされていないことが起きているのかもしれない。「無意識な自分の価値観」に気付く大事なチャンス!

自身の中で起きていることを観察して「見える」=認識できると、一歩引いて俯瞰できるのかもしれない。

スタッフヤマモト